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坂東眞砂子の作品は3冊程読んだ覚えがある。 読み終わった後雑誌で写真を見て、なんとなく作品の底に色濃く流れる世界への呪詛の理由がわかった様に思った。 彼女は容姿に恵まれているとは言えない。 良かれ悪しかれ、女性の一番の価値基準は美だ。たとえどんな素晴らしい業績をあげたにせよ「でもブスじゃん」「なんだ、ブスだな」の一言でそれは抹消される。容姿の多くは先天的なもので個人の責任ではないが、にもかかわらず幼少時からそれに恵まれていないと罵倒される女性は多い。架空の世界に逃げ込んだところでそれは変わらない。文学においてさえ女性の美点として筆頭にあげられるのはその容姿なのだ。 恐らくは陰に日向に「一番の価値基準に足りていない」と言われ続け、文壇に座を得てもそれは変わらなかっただろう。直木賞を得た作品「山妣」の女性たちが「女に生まれたが身の不幸」と苦労の多い生涯の果てに望むのは、全てを捨てて孤独に山を彷徨うことだった。彼女もまた国を出る。言葉の通じぬ外国でならば直接にその言葉は届かない。 真実なのか創作なのかはわからないが、彼女はそこで子猫を殺す。「生まれたが身の不幸」と呟いて谷に捨てる。遠く離れた祖国に「自分はもう殺す側なのだ。」と宣言する。 彼女が捨てた祖国では「あんな可愛いものを殺すなんて」と彼女に非難をあびせる。それは肉を食べ、毛皮を着、「生まれたが身の不幸」と彼女を罵倒した人々と同じ人々だ。 これは彼女のひそやかな復讐なのだろうか。でも何に? 罵倒する人々は気付かないだろう。彼女は原稿を送信し、冷や汗を滲ませながら微笑んだだろう。呪詛はすべて我が身に返る。彼女はそれを知り抜いているのだ。 ・・・なんの話?って方がいらしたら、「坂東眞砂子 子猫」でぐぐってください・・・。 私は善悪の判断よりも理由の方を先に考えてしまう方なのでこんな記事になりました。 彼女を率先して非難してるきっこさんがみくしで入ってるコミュが「可愛い女の子がスキ!」だってのもなんかなぁ・・・。
by etica
| 2006-08-24 09:01
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