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そういえばこのあいだ、その辺をぶらぶらしていたら 空き地が百合の花で真っ白に埋まっていて わー、そういえば今百合の花の季節だっけ、と通り過ぎて また空き地に差し掛かったら、また白い百合がみっしり咲いていた、ということがあって 思い出して気付いた。香らない百合の叢。あれは夢だった。 職場のデスク前にかかっている7月のカレンダーは、スペインのコルトバの、映画「ひまわり」に出てくる一面のひまわり畑の写真。 それでそんな夢を見たのかもしれない。 花の香りはいつも、少し後をついてくる。 すぐ側よりも少し離れたところ。その姿が見えなくなるあたり。 家のくちなしは今年は多分咲かない。さみしいので身につける香りをアニック・グタールの「ガーデニア・パッション」に変えてみた。アニックが日本に旅した時の思い出を香りにしたという、ちょっと和のイメージの香り。
ウィリアム・モリスの「アイスランドへの旅」ようやく読了。 え?モリスって?って、そう、あの壁紙の人。 ラファエル前派とのかかわりとか、社会主義運動とか、ファンタジー作家とか、詩人とか、いろんな顔を持つ人ですけど 実はアイスランドのFANだったそうで(当時のヴィクトリア朝の教養人の間ではアイスランド・ブームがおきてたそうだ。旅行行ったりサガ読んだりとか。)ようやく!夢にみたアイスランドに行っちゃうんだぜーvvと出発し、6週間に及ぶ冒険紀行をした時の記録です。 今のアイスランドについては私はよく知らないんだけど、この本を読むと、1日馬で旅してようやくぽつんとある農場に行き当たり、また1日旅してまたぽつんとした農場に行き当たり・・・って感じ。人口密度低い低い。 冒険って行っても特に何をするわけでもなく、そういう人のいない谷・山・河・野原を30頭のポニーを引き連れてえんえんキャンプしながらサガに出てきた古跡を求めて進むだけ。 季節は7月から8月にかけてなんだけど、雪とか降るし、河には当然橋なんかないからポニーに乗ってじゃぼじゃぼ渡るしかないし、いや、これ、男の子にしか無理!てゆかなんでそんなに元気なの~?!って思うんだけど、この時モリスは37歳だった。 お友達は途中具合悪くなったりするんだけど、彼は平気。頑健な身体をお持ちだったご様子。それとも憧れの土地にいるのが嬉しくて気力が充実してたんだろうか。 これは出版を予定して書かれたものではなかったそうで、特別目立つ出来事がほとんどなく只管まわりの景色の描写が続く文章は少々退屈ではあるんだけど、それだけに読み終わるとアイスランドの景色を知りたくて思わずDVD検索してしまう自分がここに。 文中に描かれているのは、とにかくすごく雄大な景色。しかも短い夏。かぐわしい花は咲き乱れ、水は澄み、山々は峻厳に聳え立ち・・・いや、読むより見たい!見るより行ってみたい!と思うのは人情というものでしょう。 厳しく雄大な自然の中で暮らす人々の国って、今の日本で暮らす自分にとっては彼岸なんだろうと思う。 昔、大学で「常世」について、例えば天国(天上)・現世・地獄(地下)の位置関係が縦の構造にあるとすると、常世信仰はそれを横の位置関係にそのまま倒したもの、つまり同じ平面状の視線のずっと先に天国があると、そういった信仰であると習った覚えがあって(うろ覚え~)、(映画で言ったら「オペレッタ狸御殿」だねー) 「彼岸」という概念もそれに近いと思うのだけれど、今も昔もお金と行動力があればそこに行けるのだなぁ・・・。まぁ行ってしまえばそこは彼岸ではなくなるわけですが。アリスのジャムみたいね!(昨日のジャムと明日のジャムはあるけど今日のジャムはありません)
イメージフォーラム・フェスティバル2008に行ってきました。 お目当てのプログラムは 特集:ドリーム・マシーン の中の 「ラスボス:異形の3D.CGアニメーション」と題されたプログラム中のAES+Fのインスタレーションを撮った映画と 「欲望装置の精神分析」と題された「スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド」という映画。 ロシアのアーティスト・ユニット、AES+Fの作品は一昨年あたり某ブログで紹介されてるのを見てから気になってたんだけど、去年ヴェネツィア・ビエンナーレで展示されてから俄然注目株となってるらしい。 サイトで見た時は写真なのかと思ってたんだけど、実際に見てみたら登場する人間の動きに至るまでしっかり作りこまれた映像でした。 アメリカのゲームからインスピレーションされたという「ラスト・ライオット」はその出自をはっきり示すかのようなおもちゃめいた世界観の下、美しい少年少女が殺し合いをするという作品。 砂漠、もしくは雪山。遊園地の遊具と発電所、ミサイルとフラミンゴの群れがすぐ隣に並びあう世界。殺し合いといっても剣やバット、銃を突きつけるだけでそれで相手を殺傷するに至らない少年少女の様子はそのままチャンバラで、要するに幼児の妄想をそのまま美しくアートにした、という作品なのだけど、背景に現われる城(会津若松城じゃないだろうかと思うのだけれど・・・。おそらく、白虎隊のイメージが引用されているのではないかしら)や音楽で示される日本のイメージを見るにつけ、思われるのは 我々は世界に対し何を発信してきたのか? ということでした。 ![]() 日本製アニメーションの世界では昔から、あたりまえのように子供がロボットを操縦し、戦闘に参加します。 それは視聴者である子供の願望をそのまま写し取ったものなのだろうけれど、その子供に向けて発信された鏡に映った欲望は、いまや子供を越えて世界中に広まっている。 それはもちろん、それが子供の欲望に留まらない、実は普遍的に人の欲望を刺激するものだったということなのだろうけれど・・・。 夭折を期待される美しい子供、鉄橋を落ちていく列車、汚れなく不毛な雪山と砂漠。美しい死のヴィジョン。 さあ、次に、これに換わって差し出せる欲望は? ![]() 続いて上映された「スラヴォイ・ジジェクによる倒錯的映画ガイド」(実際の字幕では「スラヴォイ・ジジェクによる性的倒錯的映画ガイド」となっていた。性的の言葉はプログラムに載せるのに問題があったのだろうか・・・)は、 「思想家であり現代随一のラカン派精神分析家であるスラヴォイ・ジジェクがヒッチコック、D・リンチ、ウォシャウスキー兄弟などのさまざまな作品を引用して映画の隠された言語を掘りおこす」(プログラムより) という作品。 「映画は、我々が欲情するものを与えはしない。我らが何に欲情すべきかを教えるものなのだ」とはそのジジェクの言葉だけど、引き続いて観ただけに、「ラスト・ライオット」で観た幼児の欲望、そして日本製のアニメが世界に教えた(と思われてならない)欲望にも思いを馳せてしまった。 150分ガチでジジェク先生が映画を流しつつビシバシと講義してくださるというこの作品。 先生早いです!せめて板書してください!そいでノートとらせてください!って言いたくなるような感じで、その濃い講義がストレートにちゃんと収まるような脳だったら苦労してなかったわけで・・・ でも、優れた作品は精神分析的にもその欲望をはっきりと表現している、そしてそれゆえに映画は今や世界を理解するためにかかせないものなのだ、というジジェク先生の映画ファン的メッセージは面白かったです。ということにしておこう。言葉と情報の奔流に押し流されていたので、言えることが本当にない・・・。 個々の作品に対してあげられた推察を書いていったらきりがないので、知りたい人は著作をどうぞということで。 とりあえずこんなのが出ている模様。 ヒッチコック×ジジェク/ 河出書房新社 「サイコ」の2階建て建築(2階・1階・地下室)、そしてコメディアンのマルクス3兄弟はそれぞれスーパーエゴ、エゴ、イドを示している、とか、リンチの作品に表れる強い父親としてのキャラクターはファルスを持つというのに留まらず、ファルスそのものと化している、とか、「めまい」を通じてわかるのは、男性はファンタジーとしての女性としか性交できないということだ、とか、そんな感じでした。 それにしても、人間の脳と脳が生み出すものは相互依存システムとしてしか発達できないのだな。人間の欲望によって生み出されるもの。その欲望によって生み出されたものによって欲望を知る人間。 そして結局人間が無意識に惹かれるのもまた、結局はそういったものなのだ、ということ。業ですねぇ。
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